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メディカル・ニュース

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2010年11月号 「2010年診療報酬改定後の医療政策の現状と今後の予想」

はじめに

 少子高齢化という人口構造の変化の中で医療費は増大し続け国家財政は深刻化しています。他方、今年の診療報酬改定では10年ぶりのネットプラス改定が実施されました。診療報酬改定後、まだ半年ですが、どのような「変化」があったのでしょうか。また今後の医療費の財源として消費税のアップも話題になっています。新政権の「政策」が反映された今回の改定の骨子となる「2つの重点課題」と「4つの視点」はどのように進んでいるのかをもう一度振り返りながら、医療・介護同時改定年となる2012年に向けた「政策」の行方を追ってみたいと思います。

 

検 証

○2つの重点課題
 1.救急、産科、小児、外科等の医療の再建
 2.病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)
○4つの視点(要点のみ)
 1.充実が求められる領域を適切に評価していく視点
 2.患者からみて分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点
 3.医療と介護の機能分化と連携の推進等を通じて、質が高く効率的な医療実現の視点
 4.効率化余地があると思われる領域を適正化する視点

 

2つの重点課題を覚えていますか?

 1つめの重点課題は医療の再建ですが、救急・急性期医療については、結果的には大学病院や地域の中核病院がより手厚い評価になっています。後方病床機能の充実や、有床診療所の評価です。手厚い看護職員を配置する入院基本料や、急性期病院から退院後の患者などの受け入れに関する初期加算などが新設されました。病診連携による機能分化はさらに促進される方向ですが、一方で地域医療再建に向けた配慮も確かにみられます。しかし医療機関の新たな課題も見えます。

 それは医療機能のさらなる効率化の促進です。地域連携による救急患者の受入れを評価し、急性期後の受け皿となる後方病床・在宅療養の機能強化により、患者のたらいまわしや「患者難民」=「社会的入院」の解決が求められました。医療・介護の職種連携や役割分担が評価され、さらに高齢化の進む2012年医療・介護同時改定では医療費財源とのバランスからも重要な課題となります。

 急性期病院においては大幅に診療報酬がアップされ手術点数は、精緻化された「外保連試案」が取り入れられています。エビデンスに基づく医療が評価され今後も促進が予想されます。

 2つめの重点課題では病院勤務医の負担軽減を目的に、急性期看護補助体制加算、栄養サポートチーム加算、呼吸ケアチーム加算が新設され医師事務作業補助体制加算が評価されました。医療機関をより安全に管理・運営していく組織・チームのプロセスとマンパワーに対する考え方が一歩進んだといえるでしょう。しかし施設基準においては院内体制の電子化が求められることや、小児や妊産婦を含めた救急患者を受け入れる医療機関の医師の活動の評価 などでは医療機関にも「勤務医負担軽減及び処遇の改善に資する体制の整備」が求められます。今後は組織の各種規定や人事評価などの整備も視野に入れておく必要があります。医師の勤務時間の把握など診療報酬に限らず労働基準法などの法令遵守という観点からも厳しさが求められます。

 

4つの視点が医療機関へ与える影響は?透明化と効率化はどのように進むのでしょうか?

①充実が求められる領域としては、がん医療の推進、認知症医療の推進が上げられています。イノベーションの適切な評価を行い革新的で適切な評価が盛り込まれていますが、ドラッグラグやデバイスラグといわれる問題の解決はまだ課題とされています。医療の国際化が提唱される中にあっていまだ厳しい現状といえます。
②患者の視点から再診料の統一や情報開示の促進により診療報酬を患者に分かり易くすることの評価、医療安全対策の評価がされています。医療の透明化は今後進むとみられています。医療機関のコンプライアンスの徹底が監査や第三者評価によってさらに求められると思われます。医療給付費の適正化を目的に個別指導件数を08年度の3410件から8000件に今後増やす厚生労働省の方針等からもその流れは伺えます。
③質が高く効率的な急性期入院医療等の推進、回復期リハビリテーション等の推進、在宅医療、訪問看護、多職種間の連携など今後の方向が注目されます。現在点数的にもかなり厚くなっていますが、2012年には進捗如何によって見直されることも予想されます。
④後発医薬品の使用促進、医療の質を考え様々な取り組みに対する評価として効率化、医療原価の引き下げがさらに求められるといえます。DPCをはじめ包括医療も促進されます。

 

医療機関の現在の状況と今後の課題

 現時点では診療所、病院とも外来の診療報酬の増減はわずかでほぼ変わらず、入院は急性期・回復期・療養で若干差があるもののほぼ増収傾向で、多いところは前年平均値比で10%近い増収というケースが相次いでいるようです。歯科診療所も軒並み増収傾向といわれています。他方、伸び悩むか減少の医療機関もありますが、多くは医師、看護師等人員の確保が困難で施設基準が満たされず算定できないケースやDPC評価係数に反映されないなどのケースです。今後の経過も観察し分析することが必要ですがこの流れは加速しそうです。

 

①キーワード

「連携(地域・医療と介護)」「マンパワーの確保」「算定要件の緩和」「チーム医療」「情報開示」「電子化」「2012年医療・介護同時改定」「保険外併用療法の拡大」「効率化」「労働基準法」「監査・個別指導」etc

②先送り

救命救急センターにおける軽症患者の受診抑制のため、保険外で患者負担が徴収できる仕組み、地域医療計画・病床規制のあり方、医薬品広告規制、医療関連資格から医師への教育課程の創設、民間医療保険の役割、訪問看護ステーションの開業要件の緩和(一人開業の解禁)、特別養護老人ホーム等の医療体制の改善、消費税の導入。

③継続して検討

行政刷新会議における規制・制度改革に関する分科会(ライフイノベーショ ンWG)にて保険外併用療法(混合診療)の原則解禁→拡大、レセプト情報を一元化したデータベースの利用、一般薬のインターネット販売規制の緩和、再生医療の推進、国際交流医療(医療ツーリズム)に係るビザ発給要件の緩和、地域医療計画、病床規制のあり方、救急患者の搬送・受入実態の見える化などが検討されています。

 

MIFコンサルタント 浅田 年愛