電話番号

株式会社エム・アイ・ファシリティズ

トップページ > コンサルティングの現場から 一覧

コンサルティングの現場から

MIFは医療業界への洞察と実践的な経験を基に、多角的な経営コンサルティングを医療機関の皆様に提供しております。

日々のコンサルティングの中から、特に重要な課題を取り上げ、考察していきます。

職員の離職問題

 「人材確保」を最優先課題としてあげる医療機関は多い。「離職率が2割を超えたら要注意」と言われる中、平均的な離職率を上回るようであれば、職員のモチベーションやモラル低下を招く何らかの大きな要因が存在する可能性が高い。応急処置的な施策が必要な場面もあるが、早急に根本原因を断ち切っておく必要があるだろう。

ケース 看護師の離職率が3割を超えた病院・・・その対策は正しかったか?

都内X病院は離職率が3割を超える。ある日、入職して2年目の看護師Aから「家庭の事情」を理由に辞職届が提出された。日頃から積極的に業務に励み、他の職員や患者・家族からも信頼される職員であったため、Aの退職は病院側にとって痛手であった。後日、本当の辞職理由が「この職場はまったく仕事に対する意欲が湧いてこない、疲れるだけ」という理由だったと知り、病院側は高い離職率の深刻さを再認識。離職率が高い原因について、改めて病棟師長会で意見を収集したところ、「給与水準の低さ」「職場の人間関係」が要因であるとの結論に至り、即刻、評価制度や人事賃金体系を抜本的に見直した。しかしながら、その後も離職率には変化がなかった。

point☞

X病院においては、評価制度・人事賃金体系の抜本的な見直しが功を奏さなかった。ここで着目すべきは、「その見直しが職員の声を反映したものであったのか」という点である。X病院は病棟師長会で意見を収集したが、本当に現場の声を捉えたものであるかに留意しなければならない。会議出席者の主観(の偏り)、また、会議の場で出された意見であることを考慮すべきである。職員の生の意見を反映することで、はじめて、離職率の低下に効果が表れる。逆に、本質を捉えない改善策は、職員が施策に振り回され疲弊感を生むというリスクをもはらむ。

【対策】

1.職員「不満足度調査」

ヒアリングやアンケート等による「不満足度」の調査が有効である。この時、“知られることに対する不安”の緩和のために、「担当」「委員会」「第三者」等中立的な機関が実施することが望ましい。なお、実際にX病院では問題発生後に再度調査を行い、以下2点の不満が明確化した。

  ≫病院としての情報が共有化されていない(コミュニケーション不足)

  ≫サービス残業が多い、夜勤回数が多く、そのケアがなされない(コンプライアンスの欠如)

 

○2.離職後の職員に対する調査

離職後の職員に対する調査は、真意があらわれやすく、有効的な手段である。その際以下2点に注意すべきだ。

  ○アンケートの目的を明確に伝える(職場の改善等)

  ○客観的な意見をもらう(退職理由を問うのではなく、職場として問題に感じていた事項を問う等)

 

3.改善プロセスの確立と明示

根本的な改善に向けたプロセスを確立させ、さらに「誰が、いつ、見直し・対策するか」を明示することが有効だ。なお、X病院では以下の取組を実施した。

  ≫院内情報共有の仕組み強化

  ≫業務や運営面における連絡・指示(変更)などの指示命令系統の見直し

  ≫就業規則の見直しと周知徹底

  ≫業務量の適切化を目的とした人材確保、勤務表作成時のチェック体制強化

  ≫残業ゼロ化活動、残業発生時の給与体制の見直し